神経認知障害群 | 用賀こころのクリニック 用賀駅北口から徒歩1分の精神科
神経認知障害群
神経認知障害群とは、せん妄、軽度認知障害、認知症を総称する概念です。
ここでは、一度正常に発達した認知機能が、後天的な脳の障害によって持続的に低下し、日常生活や社会生活に支障をきたすようになった状態と言われる認知症について説明します。
認知症
物覚えが悪くなった、頭がボーっとして何も考えられない、最近物忘れが目立つ、というようなことは年を重ねると誰でも経験することです。40代や50代でも、忙しい時や疲れがたまった時にはこのようなことを経験してもおかしくありません。
しかし、身体やこころの他に何も思い当たる原因がない場合は、軽度認知障害の診断がつきます。1割弱が認知症に移行しますが、正常範囲に回復する場合も多いと言われています。
認知症としてよく見られる症状は、同じことを何度も言っていると周りから指摘される、物忘れがひどい、新しいことが覚えられない、慣れた道でも迷ってしまう、ささいなことでイライラし怒ったりする、お金などを盗まれたと人を疑う、今まで好きだったテレビ番組に興味を示さない、家事の段取りが分からなくなった、などがあります。
さらに、暴言暴力、昼夜逆転、徘徊・行方不明、物盗られ妄想・嫉妬妄想などBPSDと呼ばれる症状は家族や介護者を悩ませる大きな問題となります。
加齢とともに有病率は高まり、60代後半1.5%、70代前半3.5%、70代後半10%、80代前半20%、80代後半40%、90代前半70%と報告されています。
認知症は、アルツハイマー型、レビー小体型、血管性の3つに大きく分類されます。アルツハイマー型が有名ですが、レビー小体型も多くみられます。アルツハイマー病にパーキンソン病の典型的な症状(手足の震え、動作緩慢、筋肉の固さ、小刻み歩行)が重なり、さらに幻視などが見られることが特徴的です。
認知症と確定診断する前に、せん妄などの意識障害、うつ症などの他の精神疾患、アルコールや薬物の影響がまずないかを確認します。さらに、身体疾患、水頭症、脳腫瘍、慢性硬膜下血腫、てんかんなどの適切な治療により症状改善が認められる疾患の除外診断も大切です。そのため、血液検査や各種画像検査が確定診断のためには必要です。
認知症の治療は、薬物療法と適切なケアを組み合わせて行います。現時点で用いることのできる薬はいずれも症状の進行を遅らせるものです。非薬物療法として、様々な治療法が開発されています。
確実な効果が証明されたものはありませんが、個人個人にあった治療法を試してみるのが良いとされています。家族や支援者が本人の状態や本人の希望をよく理解して、本人が生きやすいように社会資源をうまく使いながら支援していくことが大切です。