神経発達症群 | 用賀こころのクリニック 用賀駅北口から徒歩1分の精神科
神経発達症群
神経発達症群には、知的発達症、自閉スペクトラム症、注意欠如多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。
発達障害という用語も使われますが、神経発達症群は発達障害も含む広い概念となっています。ここでは自閉症スペクトラム症(ASD)と注意欠如多動症(ADHD)について説明します。
1 自閉症スペクトラム症
幼い頃に、他の人との関心を共有しにくい、コミュニケーションをとるのが苦手、人への興味が薄い、こだわりが強い、いつも同じ行動をとりたがる、急な予定変更に対応できない、特定の感覚が敏感である、という症状が見られます。大人になってからは、例え話が理解できない、相手のことを考えずに一方的に話をする、仕事で融通が利かない、という症状が見られます。
自閉症スペクトラム症の有病率は有病率は1〜2%と言われ、男性の方が多いと報告されています。
原因は、親のしつけや本人の気合などではなく、脳の発達に特性があるためと言われています。
このような特性があっても、問題なく日常生活や社会生活を送れる人もいますが、本人の特性と環境がミスマッチしている場合には、生きづらさを感じることが多く、抑うつや不眠など二次的な精神症状が現れることがあります。
自閉症スペクトラム症の根本的な治療薬はまだありません。本人や周りが、その特性を理解して生きやすい環境を作ることや、得意な分野を伸ばしていくことなどが大切となります。また二次的な精神症状に対して少量の薬物療法を行うこともあります。適切な支援のもとで本人が苦手としている能力が少しずつ発達していくことも知られています。
2 注意欠如多動症
集中することが苦手、ちょっとした刺激で注意がそれる、忘れっぽさが目立つという不注意の側面と、落ち着きがなく動き回らずにはいられないという多動性の側面と、場面に関係なく思ったことを口に出してしまう、周りを見ないでぱっと飛び出してしまうという衝動性の側面が見られます。
大人になると多動性の側面が目立たなくなり、不注意や衝動性の側面が目立つことが知られています。また、不眠や過眠など睡眠障害の側面が目立つ場合もあります。
注意欠如多動症の有病率は学童で約5%、成人で約2.5%であり、学童では男性の方がやや多く、成人では性差がなくなると報告されています。
注意欠如多動症の治療においても、本人や周囲が特性を理解することや環境を調整することが重要です。また、注意欠如多動症では、症状を和らげる薬物療法が開発されており、心理社会的な治療だけでは不十分な場合、薬物療法を行うこともあります。